顔を見回し

へえ~、あたし一度でいいから探偵ってやってみたかったんですよねえ。
面白そうだなあ?探偵って。
でもやっぱり大変なんですよねえ?探偵さんの仕事って」
と今度はモトコがカウンターに乗り出すようにしてイナガキにそう尋ねる。

いやあ、最近は浮気の調査とかばっかりでね。
まあ、体力さえあれば誰にでも出来ますよ」
とイナガキは半分照れたような笑顔でそう答えると、なんと彼はいきなり、
そうだ、一度やってみますか?
ウチの事務所で」
とお気軽な口調でそうモトコを誘ってくる。

ええ?嘘。
本当ですか?って、いきなりは無理でしょう?
で、でもなんか???、やれるんだったらなんかちょっと楽しそうかも」
とモトコはどうやらマジでその気になっている樓宇二按

すると今度はホンジョウが何を思ったか、
そうだ、ここで会ったのもなんかの縁って言うでしょう?
ここはひとつ、みなさんで『面白い芝居を演じてみる』ってのはどうでしょう?」
と全員の顔を見回し、得意そうな笑顔でそんな変なことを言い始めた。
と言って俺はボストンでのユリエに関する大まかなストーリー???、そしてその後にウエスティンでモトコが俺に話したSF陰謀論まがいな話、及びその後に俺らがめでたく?とは言い難い形で結ばれるまでのいきさつをなるべくわかり易い表現に変換しつつホンジョウに語って聴かせた。

ただしその時俺は、ユリエとモトコに共通だった例のアンドロギュノス(両性具有)に関する部分とそれゆえの特殊極まりない俺と彼女らとの結合?の部分に関してはあえて話すのを控えることにした心跳錶
と言うのも???、その部分だけは相手が親友とは言えさすがの俺も語るに憚ったと言うか、なけなしのプライドに関わったと言うか、ひと言ではうまく説明出来ないのだが、そのこと自体がつまり???あまり笑い話にするようなエピソードではない?なんてまあその時の俺は勝手にそう思っていたからであった。

それにしても不思議だったのは、ユリエと俺とのその一件に関し、この俺がいとも簡単にすんなりとあのモトコには話せたと言う事実だった。

あの夜の俺は確かにどうかしてたのかもしれない。
なんて俺は改めて自分に言い聞かせる。

いやあ、それはまたなんと言うか??、すごい話だねえ」
とホンジョウは感心したようにうなずきながらも、
それでオマエまさか???、そのモトコとか言うオンナの言ってたこと、まともに信じたわけじゃあないよね?」
と興味深げに訊いてき側睡枕頭 た。