自分は恋愛と言

ましてやヒーラーとクライアントとの関係性が、些細な#333333 ひと言をより過剰なものとしてしまうと言う事実についてもヒカルは十分すぎるほど理解していたはずだった。
ホンジョウが再会したと言う以前愛していたカノジョ(ニカイドウミク)に関する相談をはぐらかすかのようにしてヒカルはその言葉を発したのだ。
ホンジョウがその行間を読むことをヒカルが期待し、その言葉を吐いた?そんな憶測なら仮に誰かがその会話をその場で聞いていたならいとも簡単に出来たたぐいのものだったにちがいない。
いやそんなタイミングや微妙なニュアンスのことはむしろ二の次だった。
根本的な問題は、その文脈におけるそのセンテンスの意味付けに関する問題だろう。
ホンジョウナオキは多くの女性遍歴を持ち、その中でひとりだけ忘れられなかった(再会した)カノジョの存在を意識しつつも、その誰ひとりに対してさえ自分の中で確信できるレベルのコミットメントを持つことができなかった。
そして今後も自分はそれを持てないのではないか?と彼はヒカルに言った。
そのタイミングでヒカルが、「彼の過去世における母であり、彼を捨てた・・・」と言ったということは、そこで何を意味するか?

答えはシンプルだ。
ホンジョウナオキにとっての全ての女性関係における根本の問題はヒカルだった』

つまりヒカルの存在は、彼の今世における全ての女性関係の上位概念として位置している。
そしてそれは、彼の今世においても今後変わるようなレベルのものではない。
と言うことはつまり、もし仮に彼が今後ひとりだけ、彼にとっ沽空比率ての特別な女性を選ぶのだとするならば、それはまさに「ヒカル以外にはいない」。
はっきりとそう彼に伝達しようとしていたのではなかったか?
しかもそれをカウンセリングと言う、彼がもっとも不安定な心の状態の時にヒカルはそれを刷り込んだのだ。
それはまさに自分のエゴによるマインドコントロール
洗脳行為に他ならなかったのではないか?
そんな自分をヒカルはヒーラーとして許せなかった。
そしてそれはまた、現在の自分のプロとしての未熟さをまさに象徴している、そう自分を卑下する以外にどうしようもなかった。
なんと言うていたらく。

しかしそう考える一方でヒカルは、そもそも自分は恋愛と言うものをいささか大それたものとして考え過ぎなのではないか?そう思わないでもなかった。
つまりそれは、自分がヒーラーとしてどうこうと言った以前の問題としてである。
そしてそれは、シンプルにリュウイチのことで自分で自分を責めているだけのことなのではないか?
ホンジョウはもちろんリュウイチではないし、自分の親友の大切な人?と言うわけでもない。
クライアントであると言う障害(もちろんそれは、とんでもない障害とも言えるのだが)を理由に、新たな恋愛に踏み込めない自分をただそうやって正当化しているだけなのではないか?

ここにきてまた自分は・・・、自分をただ正当化して逃げているだけなのではないか?と。
「ちょっと悲しいけど、なんかいい話ね。
でもやっぱそのミカリンさんって・・・、ヒカルさんのことがすごく好き大腸癌口服標靶藥だったんだね」
と、それからワカバヤシマキはヒカルの話の途中で注文し飲みかけだったモヒートを一気に飲み干し、
マスター、もう一杯。
このグラスでいいからモヒート。
ミントもこのままでいいよ、まだ味するから」
と言った。