理事務所目指

これ、返しそびれてたから」
葉月はザンの胸 に光るホイッスルに触れて笑った。
何をしに来た」
ザンを連れ戻しに来たに決まってるでしょ!」
俺は、戻るつもりはない」
ダダこねないで帰ろうよ。明日さえ終れば解放されるんだよ?」
ザンは何も言わずに目を伏せる。
せっかくここまで頑張って来たんだし、皆で終らせて、笑ってさよならしよう?」
言い聞かせるように葉月がザンの手を取ると、冷たい手がぎゅっと握り返して来た。
すがりつくように、小さな男の子が母親の手を握るように。

葉月はため息まじりにザンの手を引く。
管理事務所でタクシー呼んでもらって、一緒に帰ろう?そういえば、あの時もそうすればよかったね。」
管理事務所目指して歩き出したが、ザンはてこでも動かない謝偉業醫生 つもりらしい。つんのめりそうになって振り返ると、ザンが手を離した。
ザン」
行け」
一緒に」
一人で帰れ」
鋭く言い捨てられ、葉月はムッとしてザンを睨んだ。
いじけて逃げるの?そんなのザンらしくない」
いじけて逃げる?」
だってそうでしょ?じゃあなんで、わざわざ一人でこんなところに来たの?」

ザンは何も言わず足早に歩き出した。
葉月はその背中を小走りに追いかける。
ザンはどんどん森の中に進んで行き、葉月は次第に息を切らせながら着いて行くのがやっとだった。
(なんて声をかけたらいいか分からない)
卓悅Bioderma />しかし、諦めて帰ることもできない。
しばらくして、大きな木の陰を曲がったところでザンが立ち止まっていた。
どうしたの?」
息を切らせながら追いつくと、ザンは静かに振り返る。
どうしてついてくる」
だって、迎えに来たんだもん。一人で帰れないよ」